
犬を飼っていれば1度くらいはミートミールやチキンミールという言葉を聞いたことがあると思います。
ドッグフードの原材料として使用されることも多いのですが、4Dミートが使われている、羽や目玉、糞尿などが入っているといったあまり歓迎したくない噂も絶えません。
しかし、実際にはどんな肉が使われているのか、どんな危険があるのか正しく知っている人は少ないのではないでしょうか?
今回はドッグフードに使われているミールの基礎知識や安全性について詳しく解説していきます。ミールを使用していないドッグフードも紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
ドッグフードに使われるミールってどんなお肉なの?
ミールとは肉を乾燥し粉末状にしたもので、代表的なものには次のようなものがあります。
- ほ乳類の肉:ミートミール
- 鶏肉:チキンミール
- 魚:フィッシュミール
ミールはペットフードに加工する際に高温で加熱するため、肉本来の旨味成分や香りがとんでしまうので、どうしても食いつきが悪くなる傾向となります。そのため、香料などを使って嗜好性を高める工夫をするのが一般的です。
こうした添加物も犬の健康に影響を与える可能性があるので気になってしまいますね。
反面、ミールには以下のようなメリットもあります。
- 粉状にすることで、ほかの原材料と均一に混ざりやすくなる
- 乾燥させることでタンパク質を凝縮させられるので、高タンパクにできる
あまり良い印象を持たれないミールですが、ちゃんと良いところもあるのです。
ドッグフードに使われる代表的なミール 安全性・問題点は?
ドッグフードに使われている代表的なミールについて、問題点も含めてもう少し細かく見ていきましょう。
ミートミール(肉粉)
AAFCOのミートミールの定義では「血液、毛、ひづめ、角、皮、糞尿、胃、反すう動物の胃の内容物を除くほ乳類の組織をレンダリングしたもの」となっています。
AAFCOとは「米国飼料検査官協会」のことを意味します。正式名称は「The Association of American Feed Control Officials」で、ペットフードの基準を定めている米国の団体です。AAFCOは日本のペットフード公正取引協会が採用している基準です。
使用できる動物の種類についての制限はありません。ほ乳類であればどんな動物でも使えます。また、動物の状態(病気で死んだ、障害があるなど)に関する規程はありません。
ミートボーンミール(肉骨粉)
ミートボーンミールとは、ミートミールに骨を含んだものです。カルシウムやリン、ビタミンが豊富なため飼料やペットフードに使用されています。
しかし、過去に狂牛病の原因になったこともあるため、悪い印象を持っている人も少なからずいるでしょう。
日本では、豚や鶏、牛由来の肉骨粉をペットフードに使用する場合は、独立行政法人農林水産消費安全技術センターの立ち入り検査を受ける必要があります。また、輸入製品においては牛由来の肉骨粉を使用しないよう指導するなど管理が徹底されています。
しかし、世界的には統一の定義があるわけではありませんので、注意が必要な原材料とされています。
家禽ミール
家禽ミールとは家畜として飼育されている鳥を使用したミールで、羽、毛、頭、足、内臓は含まず、皮と肉を含みます。また、骨も含まれる場合があります。おもに鶏肉、七面鳥、鴨などが使われます。
フィッシュミール(魚粉)
フィッシュミールとは、魚を使用したミールで、原材料名としては「ドライ魚肉」「魚粉」「フッシュパウダー」などと表記されることもあります。
使われる魚は、イワシやあじ、さば、たらなど原産国や季節によって異るため限定していないことも多いようです。
フィッシュミールには、内臓などの副産物が使われることもあります。内臓にはビタミンやミネラルが豊富に含まれているため、犬にとっては良質の栄養源にもなります。
フィッシュミールには高確率で安全性が懸念されるエトキシキンが含まれている?
フィッシュミールは油の酸化による発熱が発火を引き起こすことがあります。そのため、船舶での輸出入の場合は、国際協定で酸化防止剤の使用が義務づけられています。安価なエトキシキンが使われることが多いようです。
また、アメリカではフィッシュミールにはエトキシキンの使用を義務づけています。
酸化防止剤として使用されるエトキシキンは発がん性などの危険性が指摘されています。そのため、日本では人間の食品や農薬への使用は認められていません。また、残留基準値も0.5ppm以下(牛・豚の肝臓)、0.1ppm以下(鶏肉)となっています。このように、人間の場合は0.5ppmが限度です。
ところが、ドッグフードには75ppm以下、キャットフードにいたっては150ppm以下とされています。この数字はどのように考えたらよいのでしょうか?安全性についてはまだまだ曖昧なところもあるようですから、個人的には安心できる数字だとは思っていません。
飼い主さんのなかには、「うちは、無添加のドッグフードをあげているから大丈夫」と思っている人もいるかもしれませんが、実はここに落とし穴が潜んでいるのです。
原材料に含まれている添加物については、表示する義務がありません。原材料の段階で添加物が使われていたとしても、ペットフードに加工する際に使用していなければ、合成添加物が無添加のフードとして販売できます。
つまり、無添加のドッグフードだから添加物が入っていないとはかぎらないわけで、けして安全とは言えないのです。
もちろん、すべてのミールが危険なわけではありません。
国産フィッシュミールのなかには、酸化防止剤を使用していないものもあります。海外のペットフードでも原産国内で獲れた魚を使ったフィッシュミールをフードに加工してから輸出されたものは、エトキシキンを使っていない可能性があるのです。
ですから、一概に「フィッシュミール=危険」ではなくて、どういうものが使われたドッグフードなのかを見きわめる必要があるのです。
ミールには4Dミートが使われている可能性がある
4Dミートは肉のランクでは最下位に位置づけられており、人間の食事に適さない以下のような肉とされています。
- Dead:死んだ動物の肉
- Dying:死にかけていた動物の肉
- Deseased:病気だった動物の肉
- Disabled:障害を持っていた動物の肉
これらの頭文字のDをとって「4Dミート」と言われています。
ミートミールを代表とするミールには「4Dミートが使われている」という噂が絶えません。
AAFCOの定義でも使用できる動物の状態までは定めておらず、病気で死んだ動物や障害のある動物の肉を使用することが可能です。つまり、AAFCOの定義を満たしているペットフードでも、4Dミートを使用している可能性が否定できないのです。
安全なドッグフードを選ぶには
ミールは危険だと煽るつもりはありません。しかし、曖昧な点が多すぎて安全だと言い切れないのも事実です。
とはいえ、私たちにできる対策もあります。それは、ドッグフードを選ぶときに次の点に注意することです。
- 原料となっている肉の種類が記載されている
- 肉の産地やグレードが明らかになっている
- 製造方法についての情報がある
- 安価すぎるものは避ける
単に「ミートミール」「家禽ミール」とだけ書かれているものよりも「ビーフミール」「チキンミール」などと原材料がはっきりしているほうが安心感が持てますよね。
また、安価なフードには安全性よりもコストを抑えることを重視したものが多い傾向があります。
つまり、メーカーのホームページやパンフレットなどで、どんなグレードのどんな肉が使われているかをしっかり確認すること、それから安すぎるフードを避けること。これだけでかなりリスクを軽減できるでしょう。
これでも不安だという人には、ミールフリーのドッグフードをおすすめします。私が調べたところでは以下のメーカーやブランドではミールを使用していないドッグフードを販売しています。
- ナウフレッシュ
- ZIWI(ジウィ)
- iti(イティ)
- K9ナチュラル
- ナチュラリーフレッシュ
- ピュアロイヤル
また、アニモンダのペットフードには自社工場で生産したミールだけが使われているため、低品質なミールや危険な添加物が混入する心配はありません。
ドッグフードに欠かせないミールの安全性についてのまとめ
ドッグフードに使われているミールには曖昧なところが多く、どうしても不安を払拭しきれません。
AAFCOの定義では使用する動物の状態(死んでいる動物、障害のある動物など)の規程はありません。ですから、AAFCOの定義を満たしていても4Dミートへの不安は残ります。
また、フィッシュミールには発がん性などが指摘されているエトキシキンを使用している可能性が否定できません。
と言うように、ドッグフードに使用されているミールには安全だと言い切れない理由があるのです。もちろん、すべてのミールが危険なわけではありません。
私たち飼い主が愛犬のためにできるいちばんの対策は、ミールフリーのフードを選ぶこと。あるいはミールを使用したものであっても原材料となる肉のグレードや産地、製造方法を確認し、安価すぎるものを避けること。
その分フード代は高くなるかもしれませんが、愛犬の健康を守れるのは飼い主だけですから、ぜひ安全なフードを選んであげてください。
この記事を書いた人

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保有資格:ペットフードー/ペットマナー検定、ペット災害危機管理士、犬猫行動アナリスト。
ヒゲわんが大好きなフリーライター。ミニチュアシュナウザーなど犬の飼育歴25年、現在はワガママなお嬢様猫と同居中。ペット系メディアでの記事執筆の実績多数。
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