わんちゃんと暮らしている方なら、1度は無添加ドッグフードという言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか? 「健康そうだし、うちの愛犬にも!」と考える方も多いと思います。実際、たくさんの無添加のドッグフードが販売されています。しかし、そこには大きな落とし穴があるのです。
この記事では、無添加のドッグフードについての正しい知識をご紹介します。気になる方はぜひ最後までご覧くださいね。
無添加のドッグフードにも添加物は含まれる?
無添加という名前だけ聞くと、とても健康的で安全なドッグフードだと思いますよね。余計な添加物が一切含まれていないドッグフードだと安心して愛犬に与えることができます。
しかし、無添加のドッグフードについて注意して欲しいポイントがあります。それは、たとえパッケージに「無添加」と表記されていようと、添加物が含まれるケースがある、ということです。
例えば「着色料や香料は使用していないけれど、製造過程で添加物を使用しています」といった場合でも「無添加」と表記できます。
無添加の落とし穴ですよね。どれか1つでも使用していない添加物があれば、それは無添加のドッグフードとして成立してしまうのです。そのため、無添加のドッグフードを見つけるのは少々困難です。
では、添加物と呼ばれるものには、どのようなものがあるのでしょうか? 以下でそれぞれ解説していますのでドッグフード選びの参考にしてみてくださいね。
添加物の種類(無添加なのに入っていることがある!?)
着色料
着色料は、添加物の代表的な例ですよね。人工的に食品に色をつけることで美味しく見せる効果があります。
ドッグフードでもカラフルに色づいたものがありますが、これは飼い主さんに対して見栄えをよく見せることで商品を手にとって貰いやすくするためです。
わんちゃん達にとってドッグフードの見た目は、重要ではありませんので本来、着色料は必要ではないといえます。
香料
「〇〇フレーバー」と表記されたドッグフードを見かけたことはありませんか? 筆者の愛犬もチキンフレバーのドッグフードを好んで食べるのでたまに与えることがあるのですが、本来は香料もわんちゃんには必要のないものです。
香料は、香りを豊かにすることでわんちゃんの食欲を促進する効果がありますが、人工的に加えられた香料は「無添加」にはなりませんよね。
しかし、香料と表記されているからといって全てがよくないというわけではありません。例えば、チキンやビーフなどの食肉類やかつおぶしやホタテなどの魚介類からとれた“天然香料”は、害が少ないとされています。
乳化剤
ドッグフードを製造する過程で水や油といった混ざりにくいもの同士を混ぜやすくするために使用するのが乳化剤です。
乳化剤にも合成と天然のものがあり、卵黄からとれるリン脂質(レシチン)は、天然ですので、乳化剤は何を使っているのか原材料を確認してみてくださいね。
乳化剤は界面活性剤と同じ原理です。そのため、天然の乳化剤を選ぶようにしましょう。その違いをかりやすくいえば、石鹸は天然の界面活性剤で、合成界面活性剤が人工の界面活性剤です。
保湿剤
「セミモイスト」タイプのドッグフードのように水分が多く含まれているドッグフードにしっとり感を出す目的で使用されています。
日本では、わんちゃんに大きな危険性はないとされており、制限もかけられていませんが、実はEU諸外国では、保湿剤に対して使用の上限が定められています。
筆者も「ドライフードばかりだと飽きてしまうから、たまには別のものを…」と思って食いつきのよいセミモイストタイプのドッグフードを与えることがあります。
しかし、よく食べるからといって与えすぎは禁物です。皆様もくれぐれも注意してくださいね。
また、保湿剤で有名なプロピレングリコールはわんちゃんへの体への影響は無視できません。これは化粧品でも同じです。昔は安全と言われていましたが、近年その安全性に疑問符がつくようになってきています。化粧品ではPGとして書かれます。化粧品ではPG(プロピレングリコール)の刺激が強いのでDPG(ジプロピレングリコール)に置き換えている企業が多いのが現状です。
増粘安定剤
ドッグフードの中にはまるで人間の食べ物のように、とろみや粘り気がついたものがありますよね。これらのドッグフードには増粘安定剤が含まれています。具体的に使用されているのは以下の成分です。 以下のとおりです。
- 加工でんぷん
- カラギーナン
- グァーガム
食品のみならず、化粧品などに使用されることもありますが、いずれも上限使用量を守れば体に害はないとされています。
酸化防腐剤 / 保存料
添加物でありながら、ある意味ドッグフードには欠かせないものだといえます。ドライフードは、日持ちがすることから選ぶ飼い主さんも多いと思いますが、長期間ドッグフードを保つために酸化防腐剤や保存料が使用されています。
ドライフードは、時間が経つと酸化により品質がどんどん低下し、味も悪くなっていきます。また、劣化したドッグフードをわんちゃんが食べることで嘔吐や下痢などの症状を引き起こす可能性もゼロではありません。
セミモイストに関しては、水分量が多いことから、カビや菌が増殖しやすいです。そのため、酸化防腐剤や保存料は実はドッグフードの品質を保つためには大切な添加物なのです。しかし、その安全性は疑問視されています。
「ペットフード安全法」により、ドッグフードに使用できる量は、きちんと定められていますが、だからといって長期的に使用して良いかはまた別の話といえます。
ドッグフードへの使用量に制限がある添加物は?
添加物の種類は実にさまざまですが、特にドッグフードへ使用するのに上限があるものには注意が必要です。原材料を見て確認をしてから購入してくださいね。
エトキシキン
ドッグフードの酸化を防ぐために使用されています。わんちゃんへの使用量は、75ppmが条件です。 エトキシキンが多く含まれた食べ物を口にし続けると、アレルギー反応や皮膚、臓器に異常をきたす恐れがありますのでくれぐれも注意してくださいね。
エトキシキンは、安いドッグフードによく含まれる傾向があるため、価格だけでドッグフードを決めるのはおすすめしません。
BHA/BHT
化粧品や人間が口にする食品にも使用されていますが、油成分の酸化を防ぐ目的でドッグフードにも使用されています。 天然由来の酸化防腐剤では酸化の進みが2週間~3週間ですが、BHA/BHTは約2ヶ月もの間、酸化を防ぐことができます。
とはいっても人間よりも体が小さいわんちゃんに与えるには抵抗がありますよね。上限使用量は、BHA/BHTとエトキシキンを加えたドッグフード100gにつき150μgと定められています。
BHAは化粧品として避けたほうが良い成分としても有名。化粧品で避けるほうが良いレベルなので、わんちゃんならなおさらですね。
亜鉛酸ナトリウム
ドッグフードに菌が繁殖するのを防ぐ効果があります。鮮度を保ち発色剤としても使用されていますが人間の食品と同様にドッグフードへの使用にも上限があります。
ドッグフードに使用できる亜鉛酸ナトリウムは、1g中に100μgまでです。過剰に摂取しなければ、わんちゃんの体に害はないとされていますが亜鉛酸ナトリウムは、ドッグフードのパッケージに表記がありませんので判断が難しいところではあります。
無添加ドッグフードを与えるメリット・デメリットは?
メリット
- 健康に害を及ぼす心配がないので安心して愛犬に与えられる
- 天然由来のものを使用するので栄養価がより高い
- アレルギーがでにくい傾向にあるのでアレルギー体質のわんちゃんでも安心
- 素材本来の味を楽しむことができる
- 余分なものが含まれていない分、ヘルシーである
デメリット
- 長期保存がしづらく、品質を保つために保存の仕方に対策が必要
- 香料が使用されていないため、わんちゃんによっては食いつきが悪くなる
- 100%無添加のドッグフードは見つけづらく、スーパーなどで気軽に買えない
- 価格が高くなる
まとめ
本記事では、無添加のドッグフードについて関係する添加物とともに解説しました。 無添加と表記があっても実は、添加物が含まれている可能性があります。同時に100%無添加のドッグフードを見つけるのは、少々難しいことが分かりました。
しかし、過度に摂取しなければ体に大きな影響がでる可能性は低いため、ドッグフードを購入の際は、パッケージの表記を確認し添加物の量が適切であるかを確認してくださいね。本記事が飼い主の皆様のお役に立てますと幸いです。
この記事を書いた人
- ボーダーコリーを飼育。今までの飼育経験を元に記事を書いています。元学童保育指導員、保育士を経て現在ネットショップやウェブライターの仕事をしています。
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